法定相続情報証明制度

平成29年5月29日より、「法定相続情報証明制度」が始まります。

この制度は、相続人もしくは代理人が、登記所に相続関係戸籍一式と「法定相続情報一覧図」を提出すると、その内容を登記官が確認したうえで、「認証文付きの法定相続情報一覧図の写し」を交付するものです。この「一覧図の写し」は、相続登記や預金の相続手続等の各種手続きに利用することができます。

つまり、これまで相続手続きのために大量の戸籍の束を提出していたものが、この「一覧図の写し」を提出するだけで済むことになるわけです。また、この「一覧図の写し」は複数交付も可能ですので、手続をする銀行や登記所が複数ある場合は、同時に手続きを進めることもできます。

この制度の狙いは、相続手続における相続人や担当部署の負担の軽減と不動産相続登記の促進にあるとのことです。どの程度の効果があるのかは実際に運用されてみないと分かりませんが、複数の金融機関や登記所で相続手続をする必要があるようなケースでは、手続きの迅速化という面では役に立つ制度ではないかと思われます。


空き家問題

皆さんは、親から相続した家屋をそのまま放置していたりしませんか?

現在、全国の空き家率は年々上昇しており(平成25年:13.5%)、空き家問題は大きな社会問題になっています。先般、平成27年に空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)が施行されたことは記憶に新しいところです。

長年放置された空き家は、防災・衛生・景観上、周りの住民の方々の生活に大きな影響を与える恐れがあり、深刻な場合は訴訟問題に発展する恐れもあります。

空家法が施行されたことによって、市町村が主体となって空き家の調査・現況の把握が進められ、著しく有害・危険の恐れのある空き家(特定空家等)については、その所有者に対して除去・修繕・伐採等の措置の助言や指導、勧告、命令ができるようになり、さらには強制執行まで可能となりました。この空家法の施行によって、現在は多くの市町村において空き家対策の具体的施策が講じられています。

やはりこうした空き家問題の一つの要因として、相続問題が関係していることはまちがいないでしょう。田舎の実家の相続手続きをせずに放っておくケースや、相続手続きはしたものの活用や処分をせずに放置しているケースは数多くあると思います。

日常業務で数多くの相続に携わる私たち司法書士も、空き家問題の改善の一助となるべく、単なる相続登記業務だけで終わらずに、専門家として依頼者へのフォローアップや自治体との連携を図る必要があるものと考えます。

実家の売却のための成年後見

「認知症の親の住んでいた家を売却したいので、成年後見制度を利用したい」

たまにこういう相談があります。

認知症の親のために成年後見人を立てることは望ましいことではあると思いますが、問題はその動機です。

家の売却は、はたして本人(親)のためになることでしょうか?

もちろん、老人ホームに入る費用を工面するためなど、本人の生活のためにやむを得ない事情がある場合もありますが、中にはそのような事情が見受けられない場合もあります。

仮にこのような場合に後見人が選任されたとしても、後見人が居住用不動産の売却をするには、家庭裁判所の許可が必要となります。「本人の生活のためにどうしても家を売却しなければならない」という事情がない限り、後見人が居住用不動産を売却することは認められないでしょう。

成年後見制度は、あくまで本人の生活や財産を守るための制度です。

子供たち親族のための制度ではないということをご理解していただいた上で、制度の利用を検討していただくべきでしょう。

役員変更登記を忘れると恐ろしいことに

会社や法人の役員に変更があった場合、役員変更登記をしますよね。

この役員変更登記、中小企業でよくあるのが、「設立当初からずっと同じ人間が役員を続けているんだから、登記をする必要はない」という勘違い。

たとえ同じ人間が役員を続けることになったとしても、再任の登記をする必要があります。

また、代表取締役の方の住所が変わった場合の変更登記なんかも忘れがちですね。

さて、この役員変更登記ですが、その変更があったときから2週間以内にすることが法律で義務付けられています。

そして、これに違反すると、過料という罰金が科せられる可能性があります。

実際に、登記を長期間怠っていて数万円の過料を科せられた方もいらっしゃいますし、中には十数万円も支払わなければならなくなった方もいらっしゃいます。

この過料が科せられる基準や金額の計算は明確にされていませんが、だいたい1年以上登記を忘れていたら、ほぼ過料が科せられると思っていいでしょう。

先日も、6年間も役員変更登記を忘れておられた方の相談を受けました。おそらく、いくらかの過料は科せられることになるでしょう。

ただ、このままほったらかしにしておくと、さらに過料の金額も大きくなる可能性があるので、既に登記を忘れてしまっていたとしても早めにきちんと登記する必要があります。

「知らなかった」では済まされないことですので、皆さんも一度ご自身の会社の役員登記がきちんとできているかどうか調べてみてはどうでしょうか。

 

相続放棄と遺産分割協議

「相続放棄」とは、家庭裁判所に相続放棄する旨を申述して受理してもらうことにより、法的に被相続人の相続人ではないものとみなされる手続きです。

この「相続放棄」と混同されやすいのが、「親族同士で話し合いをして、自分の相続分を放棄するという書面に判を押したことで相続放棄をした」というものです。

これは、相続人間で話し合いをして遺産の配分を決める「遺産分割協議」の一種です。

どちらにしても自分の相続権を放棄したのだから一緒じゃないか、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これには大きな違いがあります。

それは、被相続人に負債(借金)があった場合です。

「相続放棄」をしていた場合、相続人とはみなされませんので、被相続人の負債も相続することはありません。よって、債権者も相続放棄をした方に対しては請求をすることはできません。

しかし、「遺産分割協議」の中で相続分を放棄する意思を表明した場合、この遺産分割協議の内容は債権者に影響を与えません。仮に、「自分以外の相続人が負債を全額支払う」と遺産分割協議で決めていたとしても、それはあくまで相続人間の取り決めであって、債権者には全く関係のない話なのです。ですから、債権者は法律上の相続人全員に対して請求をすることができるのです。

被相続人に借金等の負債がある場合は、この点によく注意をして相続手続きを進める必要がありますのでお気を付けください。

 

権利証を紛失したら

お客様からお受けするご相談の中で、たまに「権利証を無くしたので、再発行の手続きをお願いしたいのですが」というものがあります。

権利証(正式には「登記済証」といいます。現在は登記済証に代わって登記識別情報が発行されます)は、一度無くしたら再発行されません。

ただ、権利証を無くしたからといって権利が無くなるわけではありませんし、その後の登記手続きについても権利証無しで行うことができます。

権利証無しで登記手続きを行う場合、「事前通知制度」または「本人確認情報の提供制度」を利用することになります。

「事前通知制度」とは、法務局から権利証が無いまま申請した本人へ「登記申請があった旨」の通知が郵送され、通知を受けた本人から真実の登記に間違いない旨の書面が返送されて初めて登記が実行される制度です。

「本人確認情報の提供制度」は、司法書士が本人と面談し、その責任において本人に間違いない旨の「本人確認情報」を作成し、権利証の代わりに法務局へ提出する制度です。

というわけで、権利証を無くしたからといって権利を失うことはありませんし、その後の登記手続きも問題なく行うことができますのでご安心ください。

ただ、いずれにしても権利証や登記識別情報は不動産の権利を示す大切なものですので、取り扱いや保管には十分気を付けていただくべきでしょう。

相続税の基礎控除

平成27年1月1日より、相続税の基礎控除額が変更されました。

そのこともあってか、当事務所でも相続に関するご相談が増えてきております。

この相続税の基礎控除額でご注意いただきたいのが、変更前の基礎控除額を使う場合と変更後の基礎控除額を使う場合があるということです。

これは、被相続人の死亡した日によって相続税の基礎控除額を判断することになるからです。

平成26年12月31日までにお亡くなりになられた方の相続については、変更前の基礎控除額が適用されます。

すなわち、この場合の基礎控除額は、5,000万円+1,000万円×法定相続人の数で算出した額です。

平成27年1月1日以降にお亡くなりになられた方の相続については、変更後の基礎控除額が適用されます。

すなわち、この場合の基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数で算出した額です。

ご相談に来られる方の中にも、この基礎控除額の取り扱いについて誤解を持ってらっしゃる方も多いので、この点は覚えておくとよいでしょう。